2026.2.2
「薬不足を救う、医薬品品質管理×AI活用」をテーマにプレス向け共催セミナーを初開催
~長期化する社会課題“薬不足”の解消に向けて、政府・研究者・企業の立場から情報発信~
2000年以降、新型コロナウイルス(COVID-19)の流行に加えて、後発医薬品(ジェネリック)メーカーの品質問題が発覚したことが追い打ちを掛け、我が国では深刻な医薬品不足が続いています。その中にあって太陽ホールディングス株式会社のICT子会社である株式会社ファンリード(本社:東京都豊島区、代表取締役社長:小林 慶一)は2025年12月8日、『薬不足を救う、医薬品品質管理×AI活用』をテーマに、熊本保健科学大学・KMバイオロジクス株式会社・株式会社マクニカとの共催のもとに、プレス向け共同セミナーを開催しました。基調講演には厚生労働省の藤井 大資氏が登壇。産学官それぞれの立場から、医薬品供給の安定化への道標を示しました。
■医薬品安定供給に向けての厚生労働省の取り組み
セミナーは厚生労働省医政局医療産業振興・医療情報企画課の藤井 大資氏による「医薬品の安定供給に係る現状と行政の取組み」と題する基調講演から幕を開けました。藤井氏は冒頭で医薬品産業・ベンチャー等支援政策室長という立場から、医薬品の供給状況とその対応状況について、2025(令和7)年10月時点の医薬品全体における「限定出荷・供給停止」が14%(2,208品目)にのぼっており、限定出荷の要因としては「自社の事情」によるものが最多であったと報告。これを「いかに0(ゼロ)にしていくか」が重要なミッションとなっていると語り、なかでも供給停止の約6割、限定出荷の約7割を占めている後発医薬品の対応の重要性を示唆しました。
そもそも後発医薬品メーカーにおいては、少量多品目生産が顕著であることから、製造の効率化が難しいという構造的課題が指摘されていました。これを踏まえて厚生労働省では、「現下の供給不安への対応策」を製薬会社・病院や薬局・製薬卸などに働きかける短期的施策と、「構造的課題への対応」を軸とする長期的施策に取り組んでいます。
短期的な取り組みでは、特に緊急性を要する感染症に用いる抗菌薬や厚生労働省が指定する供給確保医薬品の増産および備蓄に係る補助事業を推進。同時にすべての医薬品を対象に報告の受付・集計・分析機能を行う「医薬品安定供給・流通確認システム」を構築し、「見える化」を図っているとのことです。
一方、長期的な取り組みとしては、少量多品目に依存せざるを得ない後発品メーカーの課題を解消するために、「後発医薬品製造基盤整備基金事業」により生産一元化のための設備投資や事業再編に係るコストを支援。また、供給能力に応じて後発品メーカーをA・B・Cに格付けして薬価上のインセンティブを付与することで構造改革を促していこうとしています。2025年5月に医薬品の流通・供給を管理する「薬機法(※01)」の一部を改正し、体制整備・強化を図っていることにも言及しました。
次なる展開について「需要量と共有量のデータ活用による見える化を、平時と有事の両側面から拡充していくことが重要だと考えています」と、藤井氏は講演を締めくくりました。
※01 薬機法:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
■熊本保健科学大学蛭田氏が進めるDX/AI活用の研究
続いて、熊本保健科学大学 品質保証・精度管理学共同研究講座 特命教授の蛭田 修氏が登壇。①不正防止に向けた課題の整理、②不正防止のプラットフォームとしてのDX/AIの利用という2つの論旨から、「医薬品不正製造防止へのAI活用の期待」というテーマで講演を行いました。
蛭田氏は冒頭で、最近の医薬品供給不安は原薬の海外依存に伴う「地政学的な問題」と、GMP(※02)に関連した業務改善命令が頻発している「国内製造上の問題」がトリガーになっていると指摘。さらに供給能力や産業構造の問題、情報不足などといった二次的要因が重なっていることから、行政処分を受けた36社/249事例をについて分析を実施したといいます。
そこから判ったことは、多くの不整合は作業の実施や記録、または変更管理のフェーズで起きているということ。かつ、そこには「偶発的」なトリガーと「意図的」なトリガーがあり、悪質な事例であるにもかかわらず「偶発的」なトリガーが散見されたそうです。
そこで現在、「偶発的」トリガーに起因する知識・経験・検出力の不足をカバーするために、厚生労働省のもとに「DX/AIプラットフォーム」に関する研究を2023年からの3か年計画で進めているといいます。
研究の一環として注力しているのが、「医薬品製造業におけるデジタル技術活用事例集」です。その目的は、どのようなデジタル技術が不正防止に役立つのかをリストアップすることで、デジタルに精通していない企業を含めて改善への「気付き」を促すこと。セミナーでは「製造販売承認書と指図書等との相違確認のDX化」、「生成AI技術を活用したナレッジマネジメント」、「QEMS(※03)/DMS(※04)/LMS(※05)の連携・統合、生成AI活用によるQMS(※06)の運用効率化」などの事例を示して説明しました。
※02 GMP(Good Manufacturing Practice):国(日本では厚生労働省)が定める「製造管理及び品質管理の基準」
※03 QEMS(Quality Event Management System):品質イベント管理システム
※04 DMS(Document Management System):文書管理システム
※05 LMS(Learning Management System):教育管理システム
※06 QMS(Quality Management System):品質管理システム
■民間3社が手掛けるAIアプローチ
続いてKMバイオロジクス株式会社品質保証統括部スペシャリストの畠山 大祐氏、株式会社マクニカ ネットワークス カンパニー AIソリューション部の鋤柄 均記氏、そして当社STiV事業部部長の小宮山 靖裕氏の順番で登壇し、「医薬品品質管理×AI活用」の現在地を紹介しました。
畠山氏は医薬品メーカーの立場から「AI導入による現場の革新」と題して、医薬品不正製造防止につながる具体的な取り組み事例を紹介し、その背景として、製薬業界全体が深刻な「人材難」に陥っていることに言及。高い専門性を有するプロフェッショナル人材を確保できず、知見・経験が豊富なベテラン社員が定年退職を迎える一方、新入社員の他業界への流出が顕著になっている中で、「高度人材」の育成が極めて困難になっている現状を訴えました。そこで同社では、製造管理や品質管理の膨大な量の知識を、AI導入によりカバーしていくことになったと説明しました。
そのAI活用において重要な役割を果たしているのが、マクニカの「製造販売承認書チェッカー」と、ファンリードの生成AI活用プラットフォーム「STiV」です。
マクニカの鋤柄氏は、自社開発の「製造販売承認書チェッカー」において独自の付加価値を追求し、作業の「効率化」「標準化」に加え、持続的な体制の構築を念頭に置いていることを訴求。具体的には、相違齟齬の判断や承認・点検結果を一元管理しデータとして蓄積することで誰もが必要に応じて記録を参照できるようになること、ベテラン社員の判断理由などをコメントとして残すことで社内のナレッジとして共有できること、人による差分を減らすことなどをあげました。このことについては、KMバイオロジクスの事例でも紹介されていました。
一方の「STiV」は、必要な情報の抽出・要約や文章生成などをワンストップで実現するプラットフォームです。必要なデータのみを投入することにより、課題となっているハルシネーションを意識せずに、資料の要約やドキュメントの生成、業務のチェックなど、さまざまな場面で活用できることから、小宮山氏は「製薬業務の品質管理においては、DXに横串を刺す役割を担う」とアピールしました。
同時に「STiV」は、厚生労働省やPMDA(※07)、各自治体などから発信される外部情報に関して日次3回のクローリングを実施する「薬事情報データベース」と呼ばれるRAG(※08)システムをオプションで提供していることに言及。その最大の特徴は、生成AIが「回答根拠」を提示できるようになること。これにより、汎用の生成AIだけでは難しかった適用業務範囲の拡充、効率化・生産性が大幅に向上すると説明しました。
また、新機能として実装された文書作成機能・チェック機能により、これまでベテラン社員が対応していた「社内規定改訂」や「整合性チェック」などにおいて、1週間かかっていた作業が1日で完了するなど、工数が劇的に削減されたことを強調。このような「STiV」の有用性については、KMバイオロジクスの畠山氏も自身の講演の中で、「暗黙知や形式知、法令・省令・ガイドラインへの対応を含めて、ベテランのナレッジに匹敵する判断補助を行うアシスタントとして定着しつつある」と評価していました。
※07 PMDA:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
※08 RAG(Retrieval Augmented Generation):検索拡張生成の略。大規模言語モデル(LLM)が外部の信頼できる情報、最新情報を検索して回答精度を高める仕組み
医薬品品質管理におけるAI活用をテーマとした本セミナーは、産官学それぞれの立場から安定供給への道標を共有する有意義な場となりました。深刻な人材難や複雑化する法規制への対応が求められる中、最新のデジタル技術が果たす役割はますます重要性を増しています。ファンリードは今後も技術革新を通じて製薬業界の課題解決に寄り添い、安心・安全な医療の未来を支える活動を続けてまいります。
【関連情報】
生成AI活用ナレッジマネジメントシステム「STiV」サービスサイト
https://www.stiv.jp/
STiVは、太陽ホールディングスグループの医療・医薬品事業が実際に直面していた課題を解決するために誕生したサービスです。高い専門性が求められる業務では、個人の経験やノウハウに頼りがちで、組織全体の知識共有が進まないという課題がありました。STiVは業務の属人化や生産性の低下につながるこうした課題を解決し、生成AI活用による組織全体のノウハウ共有と技術継承を加速します。
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[本件に関するお問い合わせ先]
株式会社ファンリード 広報チーム
〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-11-1 メトロポリタンプラザビル15F
TEL:03-5656-0055 E-mail:pr-marketing@funlead.co.jp
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